第11回CD メンバー 練習日程と経過報告 スナップ(4/18) 練習写真-1 練習写真-2
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第11回音の輪コンサート

1999年5月3日(月/祝)開演13:30 
ゆうぽうと簡易保険ホール(五反田)

ご挨拶

 昨年の同じ日に、この、ゆうぽうとで4時間に及んだ第10回記念コンサートを開催したことがまるで夢のように感じられます。一つの区切りを締めくくり新たなスタートを切る第11回音の輪コンサートは、これまでできないでしまったことをやってみようということをテーマにして計画されました。
 この10年間指揮はA. リード博士の他に、NHK交響楽団の首席ティンパニ奏者の百瀬和紀先生とジャパン・スーパー・バンドの常任指揮者の伊藤透先生が三人四脚で担当してきましたが、今年は全曲をA. リード博士が指揮します。78歳とご高齢ではありますが元気さにおいては誰にも負けないA. リード博士、きっと新しいパフォーマンスの展開を教えてくれることでしょう。
 また演奏曲目では、これまでほとんど取り上げられなかった曲目を中心にプログラムされました。特に第2交響曲は難しいせいか他のバンドでもなかなか演奏されることがありません。とはいっても「オセロ」は音の輪コンサートでの演奏希望曲ベスト3で、今まで何度も候補に上りながら何らかの事情で下ろされてきた経過があります。これまで第1回と第6回に採り上げられちょうど5年周期で回っていて、今年がその年に当たり3回目の演奏となった次第です。
 今回の新譜「フルートとバンドのためのディヴェルティメント」は、1997年に初演されながら楽譜が未出版で演奏できなかったのですが、今年始めにようやくオランダのモレナール社から出版され、東京交響楽団の首席フルート奏者・甲藤さち氏をソリストにお迎えして日本初演を行うことになりました。(なお、今回使用する楽譜は、モレナール社のジャン・モレナール社長より贈呈されたものです。)
 さらに今は亡き大シンガーで俳優のフランク・シナトラが、主人公のジャズドラマーを主演した映画「黄金の腕」からのメドレーを、シエナウインドオーケストラの打楽器奏者としてご活躍の荻原松美氏をお迎えしジャズドラムの妙技を披露いただきます。
 コンクールで良く演奏される曲や定番として演奏されるている曲がプログラムされるコンサートには多くの若い聴衆が集まってくれるのですが、このような渋いプログラムにはあまりお客さんが足を運んでくれません。こうした難しい曲や珍しい曲、新曲などで演奏会をすることは、主催者にとって、また演奏者にとっても大変勇気のいることです。
 一人の作曲家の世界を究めることによって自分自身の音楽性に磨きを掛けようという趣旨のこのコンサートに意義を感じ、今日ここにお集まり下さいました聴衆の皆様に、そしてこのコンサートに参加し貴重な休日を練習のために捧げて今日のステージに立つ112名のメンバー一人一人に、心からの賛辞をおくります。

音の輪コンサート
代表 青山 均


演奏曲目/全曲A. リード指揮
演奏:音の輪ウィンド・シンフォニカ'99

PROGRAM
1.
ワパウェッカ
(サスカッチアンの山)
WAPAWEKKA (White Sands)/Alfred Reed
2.
フルートとバンドのためのディヴェルティメント
DIVERTIMENTO FOR FLUTE AND WINDS/Alfred Reed
フルート/甲藤さち●日本初演
3.
第2交響曲
SECOND SYMPHONY/Alfred Reed
休憩 (intermission)
4.
インペラトリクス
IMPERATRIX/Alfred Reed
5.
オセロ
OTHELLO/Alfred Reed
6.
マンシーニ!
MANCINI!
Henry Mancini/arranged by Alfred Reed
7.
黄金の腕
THE MAN WITH THE GOLDEN ARM
E. Bernstein/arranged by Alfred Reed
ドラムス/荻原松美
アンコール
エルカミノレアル

星条旗よ永遠なれ

フルート独奏:甲藤さち
Sachi KATTO
東京芸術大学卒業。1982年ドップラー・フルートコンクール第3位入賞。1984年第53回日本音楽コンクール入賞。1985年第2回日本フルート・コンベンション・コンクール第1位。東京交響楽団首席フルート奏者。
打楽器奏者/ドラムス・ソロ:荻原松美
Matsumi Ogiwara
シエナ・ウインドオーケストラ
指導:伊藤 透(常任指揮者)
Toru Ito
ジャパン・スーパー・バンド指揮者


曲目の解説

ワパウエッカ
Wapawekka (White Sands)

 この曲はカナダ建国100年のためにサスカッチアン州芸術庁に作曲を委嘱され、1967年8月5日にサスカッチアン芸術サマースクールで、作曲者自身の指揮とサマースクール・コンサートバンドによって初演された。ワパウェッカはクリー・インディアンの言葉で「白い砂」を意味し、サスカッチアン州北部のかなり広い湖と小さな丘陵地帯の呼び名である。
 この曲は自由な形式の交響的狂詩曲で、古代クリー族のリズムと踊りに由来する4つの主題で展開されている。
(この曲は「サスカッチアンの山」としても知られている。)

フルートとバンドのためのディヴェルティメント
Divertimento For Flute And Winds

 この「フルートとバンドのためのディヴェルティメント」は、テネシー州立中央大学バンドの卒業生の同窓会であるBand of Blue Clubから、このバンドの指揮者であるジョセフ・T・スミス氏の長年の功績を称えるために委嘱され、1996年の秋に完成した。初演は、1997年2月7日、Band of Blue Clubの主催するウインドアンサンブル大会において、市民バンド、テネシー・バレー・ウインズとコンサートミストレス、シンディー・マックネスさんの独奏で作曲者が指揮して行われた。
 曲は1楽章形式で2つの部分に分かれ、叙情的な導入部から導かれてゆく変化に富むリズミカルな軽いスケルツォによって通される。終曲に向かって最初のメロディー部分が少し形を変えて戻ってきて、後半部のメロディー部分と重なり合ってクライマックスへと導かれてゆく。
 フルーティストにとっては、叙情的な面からハイレベルのテクニックを披露する良い機会でしょう。この曲の全てが、現代ウインドオーケストラの他のウインド・カラーに向けて始められています。

(A. リード・プログラムノート)

第2交響曲
Second Symphony

 A. リードは1975年にアルメニアンダンス・パートIIを書き上げ、1977年にオセロを完成させている。この後に続くこの第2交響曲は、彼にとって最初の交響曲である。しかしこの交響曲が第2交響曲とタイトルされているのは、1952年に「金管楽器と打楽器のための交響曲」を発表していて、これを第1交響曲としているからである。1988年に「第3交響曲」、1992年に「第4交響曲」、1995年に「第5交響曲さくら」を完成させているが、5つの交響曲の中でこの第2交響曲が最も前衛的な曲調で、調性によらない作曲技法で書かれている。この作曲技法は第5交響曲の第1楽章にも見られるが、無調で書かれる現代音楽とは違う音楽性を表現しようとするA. リードの作風を伺い知ることができる。
 曲は、緩・急・緩の三つの部分から構成された単一楽章形式の作品である。第1部レントは、ゆっくりとした自由なパッサカリアで、クラリネットセクションが示す、Bb-F-E-Ab-G-Db-C-Cb-Gb-Eb-Aという神秘的な響きの音列がリズムを変え、楽器を替え、掛け合いながら発展して何度も山を作り、やがてマーチ風の第2部へと続いていく。第2部は前進的で力強いムードを持っていて、同じメロディーを追い掛け合うフーガ的な進行で新しいモチーフが次々に現れ、現代音楽を感じさせる。第3部は再びゆっくりしたしなやかな曲調に戻り、はじめのパッサカリアの主題がクライマックスを作り、潮が引くように静かに曲を閉じる。
 この曲は、1975年の晩秋にミシガン大学シンフォニック・バンドの指揮者ケニス・G・ブルームクエストから委嘱され、1977年7月から9月までの3ヶ月でスケッチが完成され、そのあとオーケストレーションが行われ1978年3月27日に完成した。初演は、この年の5月6日、ミシガン大学の大聖堂でブルームクエストの指揮、ミシガン大学シンフォニック・バンドの演奏で行われた。

追記:ケニス・G・ブルームクエストは昨年武蔵野音楽大学の指揮者として初来日した。彼は少年時代のJ. バーンズの先生でもある。11月20日ゆうぽうとで行われたソニー吹奏楽団の創立40周年記念演奏会に出席し、A. リードの指揮する委嘱作品・「ミレニアムIII」の世界初演を聴いた。その後24日、J. バーンズの指揮する洗足学園大学S.W.O.の定期演奏会に秋山紀夫氏と共に出席し、J. バーンズの第3交響曲を聴いている。この3人の陽気で話好きのアメリカ人たちが(他にA. リード夫人とブルームクエスト夫人が同席していた)、ソニー吹奏楽団の打ち上げパーティーでどれほど盛り上がったかは容易に想像できよう。

インペラトリクス
Imperatrix

 インペラトリクスとは古代の女帝を意味する言葉だそうであるが、この曲の壮大な導入部を構成する主題的要素がインペラトリクスの意味を余すことなく表現している。
 この曲は、ジョージア州フォレストパークのG.P.バブ中学校とその指揮者ドナルド・ウィルスによって委嘱されて1972年に作曲され、その年の4月7日に、バブ中学校バンドがジョージア音楽教育者協会全州バンドオーケストラ大会のコンサートで、ドナルド・ウィルク氏の指揮で行われた。

オセロ
Othello
5つの場面によるウインドアンサンブルのための交響的描写曲

 この曲は、サブタイトルにあるようにシェイクスピアの戯曲「オセロ」の5つの場面から味わった感情やムードを音楽化したもので、それぞれの場面が楽章の始めに書かれている。
 オリジナル曲は、マイアミ大学の演劇プロデューサー、デルマー・ソレム博士が上演する戯曲「オセロ」の付随音楽として委嘱され、1974年に16人の金管奏者と3人の打楽器奏者による14曲が作曲された。その後1976年今日の5楽章の形にまとめられ、1977年10月12日イサカ大学シンフォニック・ウインドアンサンブルをリード自身が指揮し初演された。

 第1楽章「プレリュード(ヴェニス)」 
 第2楽章「オーバード(キプロス)」 
 第3楽章「オセロとデズデモーナ」 
 第4楽章「廷臣たちの入場」 
 第5楽章「デズデモーナの死:終曲」

マンシーニ!
Mancini!
作曲:H. マンシーニ  編曲:A.リード

 この曲は、今は亡き銀幕の妖精、オードリ・ヘップバーンが主演した映画『ティファニーで朝食を』の主題曲として、1961年第34回アカデミー賞主題曲賞及び第4回グラミー賞最優秀歌曲賞を受賞した「ムーン・リバー」を中心に、1962年第5回グラミー賞最優秀楽器編曲賞を受賞した映画『ハタリ!』の「小象の行進」と「ハタリ!」の3曲のマンシーニの作品が、A. リードのアレンジによって見事に散りばめられ、映画ファンならずとも胸がわくわくさせられる構成のヘンリー・マンシーニ・メドレーとなっている。

黄金の腕
The Man with the Golden Arm
作曲:E. バーンスティン 編曲:A.リード

 シンフォニック・パラフレーズとサブタイトルされたこの曲は、1955年フランク・シナトラ主演で映画化された「The Man with the Golden Arm」から3曲がセレクトされA. リードによってアレンジされたもので、1956年にハンセン出版社から出版された。
 映画の内容は、フランク・シナトラの演じるフランキーはシカゴで「黄金の腕を持つ男」の威名を取るトランプの達人だが、麻薬中毒で捕まり療養所に送られる。そこで習ったドラムで出所後の身を立てようとするが、仕事は少なく、昔の仲間たちの元の世界に引きずり込もうとする誘惑を断ち、ドラマーとして更生してゆく姿を感動的に描いた作品。
 音楽は映画音楽の巨匠エルマー・バーンスティンが担当し、この映画で初めてモダンジャズを本格的に取り入れ、ウエストコーストの名だたるジャズメンたちを起用している。


アップデート 1999.5.5