2月13日(日) 練習 09.00--17.00 洗足学園大学横浜キャンパス
この日最初に挨拶を交わしたのは島根県から参加しているユーフォの横田陽一君でした。前夜の飛行機で上京して浜松町のホテルに宿泊して朝一番で練習場に着いていました。彼は、昨年から蔵木小学校(全校61名)で3年生の男子5名・女子5名を受け持つ新任の先生です。彼との最初の出会いは1995年7月に浜松で開催されたWASBE(世界吹奏楽大会)の展示会場だったと記憶しています。このときA. リード博士は洗足学園大学を率いて洗足学園大学からの委嘱作品「第3交響曲さくら」を初演しています。その次に横田君に会ったのは1998年11月11日、大阪フェスティバルホールで開催された第77回大阪市音楽団定期演奏会に駆けつけてくれました。この日のコンサートには、同じユーフォの松井君と、クラリネットの香取さんと同じクラリネットの中嶋君が来てくれていたように思います。このときのプログラムは、その年に音の輪コンサートで初演した「第6組曲」と「エルカミノレアル」「第3交響曲」「エルサレム讃歌」などでした。今年、この4人は一緒に音の輪コンサートに乗っています。
今回の練習場である洗足学園大学横浜キャンパスは地理的にはちょっと不便なところにあるので始めてくる人は迷ってしまうことでも有名です。この校舎には主にジャズ科が置かれていて特別な雰囲気が有ります。また、4階には特別室が設けれその一室がA. リード夫妻の部屋になっています。とても近代的な作りで、東側全面がガラスで覆われた吹き抜けの二階づくりのこの家を彼らは大変気に入っていて、ここで最近の多くの作品が書かれています。西側の寝室からは天気のいい日は富士山が見えるという環境も最高です。
この季節は忙しい人が多く毎年参加者が少ないので練習を入れないようにしていましたが、今回は洗足学園大学のご協力を頂いて2月の唯一の練習日を設けました。やはりこの日もちょっと集まりが良くなかったので、練習は定刻より遅れて始まりました。午前中の練習は直接見ることができなかったのですが、隣の部屋で聞いていると、すでに知り尽くしていると思われるようなホルストの演奏には安定感が増していましたし、さらい切れていなかったJames Barnesのトッカータなどは曲になってきていたように思いました。
二部の練習の後半を聞いていて次のようなことを感じました。
バランスが良くない。まだ3回目の練習でバランスを持ち出すことは早いのかもしれないが、自分たちの吹く場所でないところなのに大きく吹いているというところが目立っていました。また反対に、まださらい切れていないために自信が持てないのか自分の出番なのに充分に音を出して表現するまでになっていないところもあちこちで見られました。この話を伊藤先生としましたが、練習場が響かないせいもあり無理に吹いているように思うが、ホールに行ったらもっと楽に吹くようになるだろうし、今の練習では音が小さいよりも大きい音でふける方がバランスを直すのに楽です、とのことで理解しました。
指揮者は作品を指揮者の考えに従って自由に演奏する権利がある、と作曲家であるA. リードはいつも話しています。これは、彼の作品を誰かが演奏するときにも、また、A. リード自身が指揮者として自分の作品を演奏するときにも同じように当てはまると言っています。さらに作品を書くこととそれを指揮することとはまた別の能力が必要だとも言っています。昨今、A. リードのアルメニアンダンスパート1は色々な指揮者や団体によって好んで採り上げられ、多くの録音がでていてアマチュア評論家を楽しませてくれています。その昔、私は交響曲第5番「運命」が好きで、FMのライブ版に限定して20種類ちかくテープで集めていました。その個性たるやいずれの演奏も甲乙付けがたいものばかりですが、素人の私にも最も簡単で分かりやすい比較法がありそれを頼りに自己流批評術なるものを編み出して聞き比べをして楽しみました。それは「テンポ」の違いを基準にするということでした。早いか遅いかですから誰でも分かります。その早いか遅いかが意外とおもしろい比較の対象になるのです。あの有名な誰でも知っている冒頭は千差万別のテンポでやられています。またエキサイティングな3楽章の躍動的なテンポの運びもぞくぞくします。みんなぞくぞくさせるようなテンポで仕掛けてくるのを受け止めるのは何とも心地よいものです。後年になってあるオーケストラのプレーヤーからこんな話を聞きました。それは指揮者コンクールを終えたばかりの時で、今日一位になった指揮者のテンポが最高に演奏しやすいものだったという話です。テンポは演奏者にも影響を与えることを知ってから、管打楽器コンクールに何度か足を運んだことがありました。ソロのコンクールの予選は大体はピアノ伴奏が必要です。おもしろいもので、一人のピアニストが複数の出演者の伴奏をしていることも珍しくないことが分かりました。そしてピアノ伴奏で始まる場合の多くは伴奏者はソリストの要求するテンポで最初の音を弾き始めるのでしょうが、それが結構違ったテンポでやられることが多くあります。こんな場合のケースも含めて、私は最初のピアノ伴奏の出だしのテンポに注意して聞くようになりました。そうするとピアニストの出す最初のテンポで、ソリストがまだ吹く前からそのソリストが上手いかそうでないかが大体当たるようになりました。テンポが演奏者を支配すると同時にその曲にも色々な魂を吹き込む魔法の力を持っていることが分かります。それは「時間の芸術」と言われるように目で見ることのできない「音」を聞く音楽だけが持つ特殊性によるものだからでしょうか。この秘密にはもっと多くの謎が隠されているように思いますが、いつかまた考えるとして、音の輪コンサートでは二人の指揮者がいますが、それぞれのテンポの出し方にも色々な違いがあって、その違いが色々なことを原因として自然発生的にまた人為的に生じてくるものなので、聞く側としては練習の時からおもしろいものが見られ楽しめます。
さて、練習も中盤に入りました。各パートリーダが骨を折ってパート練習を計画しているようです。大変嬉しいことです。こちらで何もお膳立てできませんので皆さんでそうして積極的に集まって練習に励み、色々な交流を通してもっとそれぞれの活躍の場を広げていって欲しいと思います。また、ホルンパートが当日の休憩時間を利用してロビーでミニコンサートをするという企画がまとまりそうです。
また、チラシの配布などの宣伝活動にも協力していただき大いに感謝しています。今年はチケットを半額に下げたのでもっと多くの聴衆が来てくれることを願っています。3月3日金曜日から「ぴあ」でチケット販売が開始されることになりました。
昨日は2月14日バレンタインディー。チョコレートの数を争う気持ちは微塵もありませが、いくつになっても嬉しいものです。男性諸君、収穫はいかがでした。女性の皆さん思いを遂げましたか。この日の夜に東京駅で今日誕生日を迎えた弟を見送りましたが、大丸デパートの前にチョコレートの山が積まれたまま残っていました。かわいい女性の販売員が二人元気なさそうに無言で立っていました。もう7時半を回っているのにまだこのチョコレートを売っていなければならないのかというような複雑な乙女心が彼女たちに見えたのは私だけだったでしょうか。
2月15日