第9回の主な演奏曲目

ヴィヴァ・ムジカ!
Viva Musica!
A. リード

この曲は、シカゴのヴァンダ・クック音楽大学からの委嘱により作曲され、「音楽教育という高尚な分野で卓越さに向かって努力してきた全ての人たちに」献呈され、1983年12月16日にシカゴで作曲者のリード博士の指揮によるこの大学のシンフォニック・コンサート・バンドによって初演された。リード博士は、この大学の教師と学生の間の関係がきわめてうまくいき成果を上げているのを見て、この曲を書いたと言っている。
この曲は、アレグロ・ブリランテと指定された単一楽章のもので、一つの基本的な主要動機を展開しながら楽想を繰り広げて行くという構成をとるのだが、これには木管による対比するモティーフもおかれている。そしてこのモティーフは、主要動機と交替するように姿を見せたり、対位法的に結び付けられたりする。そしてやがて変化に富んだ輝かしい結末に達する。作曲者によれば、そこには音楽を作ることの喜びの暗示とそれを聞く喜びがあるという。

ロシアン・クリスマス
Russian Cheristmas Music
A. リード

1944年(1947年 改訂 )作品。コロラド州デンヴァー市の委嘱で、市の主催による「アメリカとロシアの音楽の夕べ」のために書かれた。当時の評価は非常に高く、改訂版ではコロラド大学の「新しい吹奏楽賞」を受けている。22歳のA.リードのデビュー作である。
テーマはロシア系のイースタン・オーソドックス教会の礼拝用のコラールからとられ、「子供のキャロル」「交誦歌」「村の歌」「教会の歌」となっている。コンダクターノートによれば、これらのコラールはもともと伴奏を排した声楽のみによるものであり、この吹奏楽曲の演奏に際してはいかなるテンポであれ、またクライマックスがいかにパワフルになろうとも、常に響きを失わず、充分に音を保持した叙情的なスタイルを堅持しなければならない、とある。曲全体を通しスローなテンポで流れるが、微妙な揺れが随所に現われ、高度な音楽性が要求される。終曲では特に金管群にかなりのパワーを要求し、大きなクライマックスを作って終わる。

セカンド・センチュリー
Second Century
A. リード

A. リードの近年の作品の多くを出版しているアメリカのC.L.バーンハウス社は、1986年に創立100周年を迎えた。そして新しい第2世紀目(セカンド・センチュリー)への繁栄の願いを込めてA. リードに委嘱され、1986年の秋に初演された。伝統的な形式のさわやかなコンサートマーチである。

第5交響曲「さくら」
Fifth Symphony (Sakura)
Alfred Reed

この吹奏楽のための大作は、1994年の洗足学園創立70周年を記念して委嘱された。当初は同年の夏に初演を予定していたが、隔年で開催されるWASBE・第7回世界吹奏楽大会(浜松)への出演依頼があり、特に作曲家自身の指揮の下でという演奏要請を受け入れることで、1995年7月26日(アクトシティー浜松)まで延期された。
作曲者の第3及び第4交響曲と同様この全3楽章の新作は、よくバランスの取れた楽器法や輝かしい音の響き、そして技術的な完成度の優れた現代のウィンドオーケストラによる、大規模かつ正統的な吹奏楽曲の創作に対するアルフレッド・リードの確立したものの総決算と言うべきものである。
第1楽章は自由なソナタ形式で、全楽章を通じて現れる動機の断片を含んだ叙情的な序奏で始まる。序奏の後、プレーヤーにかなり高度な技術が要求される華々しく速い部分が続く。第2楽章は日本の愛唱歌「さくら」のメロディに基づいた自由な変奏曲である。最終楽章はふたたび自由に発展するロンド形式である。第1楽章の序奏部の主題を使って、他の様々な主題を結合しながら輝かしいフィナーレとなっている。 (A.リード)


アップデート 1999.1.15